『美しいこと』 [BL小説]
主人公の松岡洋介はゲイではないんです。
ただ、週に一度、女装して街に出かけ、男達の視線を集めて楽しむという、とても変わった趣味があっただけなのです。それがまた半端無く清楚でかわいらしい姿で…。
ある夜、女装した姿でナンパされ、ひどい目にあって途方に暮れていた松岡を優しく助けてくれた男性がいました。
それは同じ会社で働く、不器用、トロいと評判の冴えない男、寛末でした。
女性と誤解されたまま寛末と会いつづけ、ついに寛末から「好きだ」と告白されてしまうんです。
このまま、誤解されたまま突っ走ってしまったら…一体どうなるのか。
先日紹介した『秘密』と同じく、破滅に向かってまっしぐらに進んでいるようにしか見えないんですよね…。本当にドキドキさせられます。
そして、小説の登場人物にこんなにもイライラしたのは○十年の人生で初めてです!
でも、最後には素晴らしいカタルシスが待っていましたよ。
「美しい」とはどういうことか、
身を切られるような切なさとともに味わってみたい方にお勧めです。
すこしネタバレ的に踏み込んだ感想は続きに…
本気で、心の底から、叫びたくなるくらい
寛末が大嫌いになってました!
もうね、このまま松岡が寛末を振り切ってくれるように、
残りのページ数が少なくなればなるほど
そんな祈るような気持ちになって読んでました。
惨めな寛末の様子を読んで
「へん!ざまーみろ!」と真面目に思ったり(笑)
でも。
でもでも。
ホントに良かった。
こうなって良かった。
松岡の幸せそうな様子を読めて、本当に嬉しかったです。
一途に真っ直ぐな気持で、わがままも言わず遠慮がちにそばに居続けた。
何度も手ひどく傷付いて、気持ちをずたずたにされて、
それでも健気に思い続けていた松岡のこと
本当に大切にして欲しい。
寛末の両肩を掴んで強く揺さぶりながら念押ししたいです。
なんだか、娘を嫁にやる父親のようだな、私(笑)
いや、ホントに面白かったです。
2011-08-20 21:22
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